新型コロナウイルスによる経済ダメージを受けて、トランプ政権は3月末に、大人1人あたり$1,200、子ども1人あたり$500の給付金(Economic Impact Paymentまたは Stimulus Check)を支給する法案(CARES act)を可決しました。そして、もらえる人にはresident alien(居住外国人)も含まれています。
さて、ここでは留学生がこの給付金を受給することができるのか、そして、私とその周辺での受給状況について報告します。
Stimulus Checkをもらうことができる人、できない人
アメリカ歳入庁(IRS)のホームページやCARES actの法案によると、以上のようになります。
できる人
- アメリカ市民権を持っている人(海外居住でも可)
- アメリカ居住外国人(Resident Alien)
できない人
- アメリカ非居住外国人(Non-resident Alien)
- 一定の所得を超える人
- 誰かの扶養に入っている人
- ソーシャルセキュリティーナンバー (SSN) を持っていない人
留学生はどうなるの?
条件については、アメリカの個人所得税についての知識が必要なのですが、簡単に書くと、
- SSNをもっていない⇒もらえない
- J-1 (teacher or trainee)で2017年以前に入国している人⇒もらえるかも
- J-1 (teacher or trainee)で2018年以降に入国している人⇒もらえない
- F-1、J-1 (Student)で2014年以前に入国している人⇒もらえるかも
- F-1、J-1 (Student)で2015年以降に入国している人⇒もらえない
なぜ入国日によりもらえる人ともらえない人がいるの?
アメリカでは過去3年のうち何日間をアメリカで過ごしたかによって、居住者か非居住者か判断します。初めてアメリカに来た人の場合は、一年のうち183日以上をアメリカで過ごすと居住者扱いになります。労働ビザ(Eビザなど)で渡米する海外赴任のサラリーマンなどはこの扱いになります。
しかし、留学生は短期滞在者なので、ソーシャルセキュリティーの恩恵にあずかれない可能性が高いことから、学生は入国日から5カレンダーイヤー(4年後の年末まで)、研究者等は2カレンダーイヤー(1年後の年末まで)の間、Non-resident Alienとして扱われます。ソーシャルセキュリティー関連の税金が免除される代わりに、税制上いろいろな制限があります。
非居住者にあたる人は残念ながらStimulus Checkの対象外です。
この辺りの認識は、(もう改定されてしまいましたが)日米租税条約と混乱しやすいところなので、別の記事で解説します。
私の周りの受給状況
アメリカ人以外は誰ももらえていません!多くの人はもらえていません(アメリカ人でももらえていない人もいる)
2017年に留学を開始した日本人ポスドク4人とも:未
10年くらいアメリカにいるHビザ研究者とその友達:未
フィラデルフィアの韓国人ポスドク:未
ブラジル人グリーンカード、夫はコロナ失業中 SSN、とその友達:未
インド人Hビザ、妻と子ども一人SSN、子ども一人ITIN:済 (ITINの子どもはもらえなかった)
NJのアメリカ人:未
シアトルの日本人ポスドク:未
Citizenshipのない人には慎重に給付しているのかもしれませんが、QuoraやRebbitには留学生でしかも帰国済みに人にまで、給付金が支給されたという投稿があるので、実際にどうなっているのか分かりません。
「もらえるかもしれない」と書いたわけ
私のように2017年以前に入国している人は、ステータスが居住者になっているので、給付金の対象になるはずです。J-1ビザも対象になるという記事をリンクします。
J-1 visa holders eligible for stimulus checks (J-1ビザの人は給付金をもらえる。)
https://www.wmdt.com/2020/04/j-1-visa-holders-eligible-for-stimulus-checks/
しかし、「もらえないかも」と書いたのには訳があります。実は気になる情報が2つ。
Married To An Immigrant Without A Social Security Number? A Civil Rights Group Is Fighting For Your Stimulus Check (ソーシャルセキュリティーナンバーを持っていない移民と結婚していますか?市民団体が給付金のために戦っています。)
https://laist.com/2020/04/30/immigrants_ITIN_social_security_number_stimulus_checks_lawsuit_maldef.php
CARES actには穴があって、それは、Married Joint(夫婦合算)で確定申告していて、片方にSSNがあって、もう片方にはSSNがない場合(通常、マイナンバーとしてITINを持っている)、Stimulus Checkの対象から外れるかもしれないということ。SSNはアメリカ市民であれば生まれた時に付与されますが、アメリカ市民でなければ、働かないともらえません。例えばアメリカ市民と国際結婚した人に発行されるK-3ビザでは、SSNはもらえません。(Lビザなど、働かない家族にもSSNが発行されるビザもあります。)
記事ではこのような状況のためにStimulus Checkがもらえない人が200万人はいるだろうと推定しています。そして私自身も、私はSSNを持っているが、妻はITINなので、この記事の通りだと「もらえない」ということになってしまいます!
この辺りを分かりやすくまとめているサイトがこちら。
Am I eligible for Stimulus 2020 Check? H1B, L Visa, Green Card Test
https://www.am22tech.com/am-i-eligible-stimulus-2020-check/
家族内に一人でもITINの人がいたらもらえないかも・・・
Jビザの人は、そんなに給料が高いほうではないので、Stimulus Checkが入るに越したことはないですが、さてどうなるか?上にあげた市民団体や一部議員はITINで合法的に居住している人が給付金の対象外になるのはおかしいと主張してくれています。頑張ってくれることに期待します。
Democrats demand stimulus money for Americans who are married to immigrants
https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/democrats-demand-stimulus-money-americans-who-are-married-immigrants-n1198176
4.3 Million Adults Eligible For Two $1,200 Stimulus Checks If HEROES Act Signed Into Law
https://www.forbes.com/sites/shaharziv/2020/05/15/43-million-adults-eligible-for-two-1200-stimulus-checks-if-heroes-act-passes/#7e9efce726c4
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